ライトノベル」という言葉を用いて、我々が「自分の中にある基準を満たした物」について語っているのだとすれば、この言葉を用いた意思疎通が全く不可能となってしまうだろう。だが、実際には、ときどき意見にずれが生じることがあるにしても、たいていの場合は「ライトノベル」という言葉は意思疎通のためにちゃんと使える。このことは、LPの基準が個人の内心にあるのではなく、ある程度のゆらぎを伴いつつも他人と共有されているということを示しているのではないだろうか?

ラノベ界のウィトゲンシュタイン - 一本足の蛸

しかし、ライトノベルの定義の話が出ると良く思うのだけど、どの作品がライトノベルで、どの作品が境界に属するのかは、わりと広くコンセンサスは取れているのに、なんでこんなにネタになるんだろう、という方が疑問だったり。よく見かける“あなたがそうだと思うものがライトノベルです。ただし、他人の同意を得られるとは限りません”という文言が問題なんじゃないかしらん? そこまで、定義があやふやなわけでもないだろうに。

好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! [2007年8月]

あなたがそうだと思うものがライトノベルです。ただし、他人の同意を得られるとは限りません。」
1. 他人の同意を得られなくても、あなたがそうだと思うならライトノベルと見なされます。
2. あなたがそうだと思っても、他人の同意を得られなければライトノベルと見なされません。
どっちの意味にも取れるから?
「個人が認識しているライトノベル」ではなく、「共通認識としてのライトノベル」みたいなものがあると仮定した場合、「他人の同意を得られない」ときはどうしたって「共通認識」にはならない、という。